家系ラーメンの頂点に立つ店はどこか──その問いに、多くのラーメン通が即答する名前がある。「杉田家」。家系ラーメンの総本山吉村家から最初に免許皆伝を受けた「直系1号店」であり、しかも吉村家が1974年に最初に暖簾を掲げた横浜・新杉田というまさに「家系発祥の地」で営業を続ける、唯一無二の存在だ。食べログ3.77、ラーメンデータベース97点台。朝5時から行列ができるこの店には、家系ラーメンのすべてが詰まっている。
この記事では、杉田家に行く前に知っておきたい情報を余すところなくまとめた。
- 営業時間・アクセス・行列攻略法など実用情報
- 全メニュー・価格一覧と「お好みコール」の注文システム
- 店主・津村進の商社マン→吉村家の一番弟子という異色の経歴
- 吉村家→杉田家へと受け継がれる家系50年の系譜
杉田家とは|吉村家の「一番弟子」が家系発祥の地で営む直系1号店

「直系1号店」が意味する家系ラーメン界最高峰の称号
杉田家の正式な肩書きは「家系総本山吉村家直系1号店」。この「直系」とは、吉村家で修行を積み、吉村実会長から正式に免許皆伝を受けてのれん分けした店舗だけに許される称号だ。全国に何千店と存在する「家系ラーメン」の看板を掲げる店の中で、吉村家の直系は現在約13店舗しか存在しない。その中で「1号店」という番号は、杉田家が吉村家の最初の弟子であることを意味する。いわば家系ラーメンの世界における「長男」であり、その重みは計り知れない。
家系ラーメン発祥の地「新杉田」で営業する意味
杉田家が立地する横浜市磯子区新杉田は、単なる住宅街ではない。実はこのエリアこそ、1974年に吉村実が家系ラーメンを生み出した場所なのだ。吉村家は1999年に横浜駅西口エリアに移転したが、同年、その「聖地」に開業したのが杉田家だった。つまり杉田家は、家系ラーメンの発祥の地を守る番人のような存在でもある。半世紀前に吉村実が一杯のラーメンで革命を起こした場所で、その一番弟子が今日も寸胴に向かっている──この物語性こそが、杉田家を特別な存在にしている理由だ。
食べログ3.75・ラーメンDB97点台の圧倒的評価
杉田家本店は、食べログ3.77(「とても良い」評価)を獲得し、食べログ ラーメン 神奈川「百名店」に複数年連続で選出されている。さらにラーメンデータベースでは97点台、千葉祐光店に至っては98.62点で千葉県ラーメン部門1位に輝くなど、全店舗にわたって圧倒的な評価を維持している。口コミでは「これぞ本物の家系」「吉村家を彷彿とさせるキレのある一杯」「一度食べたら他の家系に戻れない」といった絶賛の声が並ぶ。直系の名に恥じない、圧倒的な実力店だ。
朝5時オープン──「朝ラー」の聖地としての顔

杉田家本店のもうひとつの特徴が、朝5時という驚異的な早朝オープンだ。早朝からラーメンを食べる文化「朝ラー」の聖地として、夜勤明けの労働者から始発で駆けつける熱心なファンまで、早朝から続々と客が訪れる。開店前の4時台からすでに並ぶ猛者もいるという。22時30分(ラストオーダー22時15分)まで営業しているため、実質17時間以上という長時間営業。この営業スタイルは、できるだけ多くの人に家系ラーメンを届けたいという店主の哲学の表れだろう。
杉田家の3店舗と親子経営の絆
杉田家は現在3店舗を展開している。本店(横浜・新杉田)に加え、千葉祐光店(2011年)と千葉駅前店(2022年3月)が千葉市内にある。注目すべきは、この千葉2店舗は店主・津村進の息子の文博氏と娘の裕里氏が経営しているという点だ。津村は千葉県出身であり、「神奈川で成功した暁には故郷に錦を飾りたい」という想いから千葉への出店を決めた。親子で家系の味を守り広げる──杉田家は文字通り「家」の物語でもある。
杉田家本店 完全ガイド|営業時間・アクセス・行列対策まで

所在地と最寄り駅からのアクセス
杉田家本店は、神奈川県横浜市磯子区新杉田町3-5に位置する。最寄り駅はJR京浜東北・根岸線「新杉田駅」西口で、徒歩わずか約3分という好立地だ。横浜シーサイドライン「新杉田駅」からもアクセスできる。駅を出て国道357号方面に歩けば、家系ファンの行列がすぐに目に入るだろう。
| 住所 | 神奈川県横浜市磯子区新杉田町3-5 |
| 最寄駅 | JR新杉田駅 西口 徒歩約3分 |
| 営業時間 | 5:00〜22:30(L.O. 22:15) |
| 定休日 | 日曜日 |
| 席数 | カウンター15席 |
| 支払い | 食券制(現金のみ) |
| 駐車場 | 第二駐車場あり(徒歩約1分)、近隣コインパーキングも利用可 |
| 開業日 | 1999年9月27日 |
| Googleマップ | 地図を見る |
| X(Twitter) | @sugitaya_(本店公式) |
| @sugitaya_insta(公式) |
営業時間と定休日の注意点
杉田家本店の営業時間は朝5時〜夜22時30分(ラストオーダー22時)。定休日は毎週日曜日だ。年末年始は長期休業になることがあり、2024年末〜2025年始は12月29日〜1月7日まで休業だった。祝日は通常営業だが、日曜に当たる場合は休み。材料切れで早仕舞いするケースは少ないが、確実を期すなら公式Xアカウント(@sugitaya_)で最新情報をチェックしよう。千葉2店舗は営業時間・定休日が異なるので注意が必要だ。
行列・待ち時間の目安と攻略法
杉田家は常に行列が発生する超人気店だ。特に休日の午前中は30人以上の行列になることも珍しくなく、50分以上待つ覚悟が必要。朝5時の開店直後も、気合の入ったファンが並ぶため決して空いてはいない。
平日の15時〜16時台が最も空いている狙い目の時間帯。この時間帯なら待ち時間ゼロで入れることもある。次に空いているのは平日の9時〜10時台で、5時の開店ラッシュが落ち着いた頃合い。休日と祝日はどの時間帯でも混雑するため、時間に余裕を持って訪問しよう。
食券制と注文の流れ
杉田家の注文は食券制で、店舗入口に2台の券売機が設置されている。流れとしては、まず券売機で食券を購入し、その後隣の駐車場スペースの行列に並ぶ。並んでいる間にスタッフがお好み(麺の硬さ・味の濃さ・油の量)を聞きに来るので、事前に決めておくとスムーズだ。席が空いたら順番にカウンターに案内される。現金のみの対応なので、事前に用意しておこう。一人客が圧倒的に多く、カウンター15席の回転は比較的速い。
全メニュー徹底解説|ラーメンからまぶし丼まで価格付き一覧
基本メニューと価格
杉田家のメニューは、吉村家直系らしくシンプルかつ潔い構成だ。基本の「ラーメン」並盛890円を中心に、中盛・大盛が用意されている。チャーシューメンはラーメン+210円で、分厚いチャーシューが贅沢に乗る。なお、価格は近年の原材料費高騰の影響で段階的に引き上げられており、以前は並盛700円台だった時代もあった。それでも直系の味をこの価格で提供しているのは良心的といえるだろう。
| メニュー | 価格(税込) |
|---|---|
| ラーメン 並盛 | 890円 |
| ラーメン 中盛 | 990円 |
| ラーメン 大盛 | 1,090円 |
| チャーシューメン 並盛 | 1,100円 |
| 和風新杉田ラーメン | 990円 |
| ライス / まぶし丼 | 150円 |
トッピングの種類と選び方
杉田家のトッピングはリーズナブルかつ豊富だ。味玉(100円)、ネギ(100円)、玉ネギ(100円)、わかめ(100円)が各100円。青ネギは70円、海苔増しは100円。キャベツとキクラゲは各160円、青菜は150円だ。豪華に攻めたいならネギチャーシュー(300円)がおすすめ。家系通の間では「海苔増し+ライス」の組み合わせが鉄板で、海苔巻きライスを何度も楽しめるようになる。初訪問なら味玉と海苔増しを追加するのが間違いないだろう。
まぶし丼──杉田家の隠れた名物
杉田家の常連が必ず注文するサイドメニューが「まぶし丼」だ。これはライスの上に甘辛く煮た豚肉と玉ねぎ、さらに刻み海苔をまぶしたもの。驚くべきことに、まぶし丼は普通のライスと同じ150円で注文できる。ラーメンのスープを少しかけて食べれば、もう至福のひとときだ。ライスを頼むときに「まぶしで」と伝えるだけで変更できるので、初訪問でもぜひ試してほしい。常連の中には「杉田家にはまぶし丼を食べに来ている」と公言する人もいるほどの人気ぶりだ。
和風新杉田ラーメンという変化球メニュー
杉田家の定番メニューの中で異彩を放つのが「和風新杉田ラーメン」(900円)だ。通常の豚骨醤油スープに和風だしの要素を加えた一杯で、家系の濃厚さに和の奥深さが融合している。トッピングにも通常とは異なるアレンジが施されており、いつもの杉田家とは違った味わいが楽しめる。レギュラーのラーメンを何度も食べた常連が、気分転換に注文することが多い。ただし、初訪問ならまずは正統派の「ラーメン」を味わってから、2回目以降に挑戦するのがおすすめだ。
スープ・麺・具材の実力を徹底解剖|なぜ杉田家は「本物」と呼ばれるのか
豚骨×鶏ガラ×醤油ダレが生むキレのあるスープ
杉田家のスープは、豚骨と鶏ガラを長時間煮込んだ白濁スープに醤油ダレを合わせた、家系の王道スタイル。特筆すべきは、使用する鶏ガラは冷凍品を一切使わず、すべて生の状態で仕入れているという点だ。この鮮度へのこだわりが、雑味のないクリアな旨味を生み出している。表面には鶏油(チーユ)がたっぷりと浮かび、醤油ダレの「キレ」が口の中にシャープに広がる。吉村家と比較すると「気持ち優しく、バランスが取れた味わい」と評されることが多い。
酒井製麺の中太麺──吉村家と同じ「直系の証」
杉田家の麺は、家系ラーメンの麺を語るうえで絶対に外せない酒井製麺の中太ストレート麺を使用している。酒井製麺は吉村家をはじめとする直系店に麺を供給する製麺所で、この麺を使えること自体が「直系の証」ともいえる。もっちりとした弾力と、つるりとした喉越しが特徴で、濃厚な豚骨醤油スープとの相性は抜群だ。ちなみに、かつて吉村家直系だった王道家は自家製麺に切り替えたことで破門されたという歴史があり、酒井製麺の麺は直系の絆の象徴ともいえる存在なのだ。
チャーシュー・ほうれん草・海苔の「三種の神器」
家系ラーメンには欠かせない「三種の神器」──チャーシュー、ほうれん草、海苔。杉田家ではこの3つがデフォルトでラーメンに乗っている。チャーシューは豚肩ロースを使用した分厚いスライスで、スモーキーな香りとジューシーな肉の旨味が口の中に広がる。ほうれん草は鮮やかな緑色で、濃厚なスープの中でさっぱりとしたアクセントになる。そして大判の海苔3枚がスープに浸されるようにして立てかけられる——この海苔こそ、家系ラーメンの食べ方の要となる存在だ。
卓上調味料で広がる味変テクニック
杉田家のカウンターには、家系の醍醐味を倍増させる豊富な卓上調味料が揃っている。おろしにんにく、醤油、おろし生姜、塩刻み生姜、黒胡椒、酢、豆板醤、自家製ラー油。特におろし生姜は家系ラーメンの味変において最重要アイテムで、スープに溶かすとさっぱり感が生まれ、後半の箸が止まらなくなる。通な食べ方としては、まず何も入れずにスープを味わい、中盤で生姜を投入、終盤に酢で味をリセットするという3段階の味変がおすすめだ。
「お好みコール」の仕組みと指定方法
家系ラーメンの文化である「お好みコール」は、杉田家でももちろん健在だ。行列に並んでいるとスタッフが聞きに来るので、3つの項目を伝えよう。①麺の硬さ(硬め・普通・柔らかめ)、②味の濃さ(濃いめ・普通・薄め)、③油の量(多め・普通・少なめ)。迷ったら「全部普通で」と答えれば、杉田家が考えるベストバランスの一杯が出てくる。2回目以降は「麺硬め」が人気で、酒井製麺の麺のコシがより際立つ。「味濃いめ・油多め」は通称「全マシ」と呼ばれる猛者向けの注文だ。
家系の食べ方の流儀|杉田家で実践したい正しい作法
海苔巻きライスの基本と応用
杉田家で家系の真髄を味わうなら、ライス(またはまぶし丼)は絶対に注文してほしい。食べ方の基本は「海苔巻きライス」だ。丼に立てかけられた海苔1枚をスープに半分ほど浸す。スープを吸ってしんなりした海苔を箸で持ち上げ、ライスの上に置いて包む。これが家系ラーメンのライスの食べ方の基本形だ。海苔に吸い込まれた濃厚豚骨醤油スープが白米と合わさる瞬間は、言葉では言い表せない至福。3枚の海苔では足りないと感じたら、海苔増し(100円)を迷わず追加しよう。
おろし生姜×海苔×ライスが黄金の組み合わせ
海苔巻きライスの上級テクニックとして、杉田家の常連が愛する「黄金の組み合わせ」を紹介しよう。スープに浸した海苔の上に、卓上のおろし生姜をひとつまみ乗せ、それでライスを巻く。濃厚な豚骨醤油の旨味に、生姜の爽やかな辛味がアクセントを加え、白米の甘さが全体をまとめる。この三位一体の味わいは、家系ラーメンの食べ方の中でも最高峰と言っても過言ではない。さらにここに少量のにんにくを加えると、パンチが一段とアップする。
初めての人におすすめの注文パターン
杉田家初訪問で迷ったら、「ラーメン並盛」(890円)+「まぶし丼」(150円)の合計1,040円がベスト。お好みはすべて「普通」で、杉田家のバランスをまずはそのまま体感しよう。スープをひと口飲んで全体の味を把握してから、海苔巻きライス→生姜味変→酢味変という順番で楽しむのが理想的だ。余裕があれば味玉(100円)を追加すると、トロリとした半熟卵が濃厚スープと絶妙にマッチする。
上級者向け「濃いめ」の破壊力
杉田家のラーメンは「普通」でも十分に濃厚だが、上級者は「味濃いめ」で注文する。醤油ダレの量が増えることで、塩気と旨味が大幅にブーストされ、いわゆる「しょっぱ旨い」という独特の境地に到達する。口コミでは「濃いめは背徳感がすごい」「一度味わうと普通に戻れない」という声が多い。ただし関西圏や薄味に慣れた人がいきなり「濃いめ」を頼むと衝撃を受ける可能性があるので、まずは「普通」で基準値を把握してからの挑戦をおすすめする。「味濃いめ・油多め・麺硬め」のフルコースは、家系を食べ慣れた人だけの特権だ。
店主・津村進の物語|商社マンから吉村家の一番弟子へ

元商社マンが見つけたラーメンという天職
津村進(つむら すすむ)。杉田家の創業者であり、吉村家の一番弟子。彼のラーメン人生は、一般的なラーメン店主のキャリアとはまったく異なる道を辿っている。津村はもともと商社マンだった。インドネシアやタイへの海外駐在も経験し、約3社の企業で働いたエリートビジネスマン。しかし、彼の心の中にはいつも「自分の店を持ちたい」という夢があった。脱サラして一度自分のラーメン店を開いたが、1日50〜60杯しか売れず苦戦。その失敗が、彼を吉村家の門へと導くことになる。
面接2回不合格──3度目で掴んだ吉村家の門
自分のラーメン店がうまくいかない中で、津村は吉村家のラーメンに衝撃を受ける。「この味を学びたい」——そう決意して吉村家に弟子入りを志願したが、結果は不合格。1回目も2回目も面接で落とされた。吉村家の修行は過酷さで知られ、生半可な覚悟では受け入れてもらえない。しかし津村は諦めなかった。32歳のとき、3回目の面接でついに入門を許された。「2回落とされても3回目に挑んだ」というエピソードは、杉田家の原点となる不屈の精神を象徴している。
「教わるのではなく盗め」──修行の壮絶な日々
吉村家での修行は想像を絶するものだった。「教わるのではなく盗め」——これが吉村家の教育方針だ。手取り足取り教えてもらえるわけではなく、師匠・吉村実の動きを目で見て、体で覚えるしかない。給料はなし、休みもほとんどない。時にはげんこつが飛ぶこともあったという。それでも津村は約1年間の修行をやり遂げ、免許皆伝を勝ち取った。商社マンとして海外で培った忍耐力と適応力が、修行を乗り越える武器になったのかもしれない。そして1999年9月27日、家系発祥の地・新杉田に杉田家をオープンさせた。
息子と娘が継ぐ杉田家の味──千葉への凱旋
津村が横浜で杉田家を成功させた後、次に見据えたのは故郷・千葉への凱旋だった。2011年に千葉市中央区祐光に千葉祐光店をオープン。この店を任されたのが息子の津村文博氏だ。さらに2022年3月には千葉駅前にも千葉駅前店を開業し、娘の津村裕里専務を含む兄妹で千葉の2店舗を切り盛りしている。裕里専務は「父が千葉県の出身であり、神奈川で成功した暁には故郷に錦を飾りたいと考えていた」と語っている。直系1号店の味を、血を分けた家族が受け継ぐ──杉田家の「家」は、まさに血統そのものだ。
吉村家と家系ラーメンの歴史|1974年から続く50年の系譜

すべては1974年の横浜から始まった
家系ラーメンの歴史は、1974年に吉村実が横浜市磯子区の杉田エリアで創業した「吉村家」から始まる。長距離トラック運転手だった吉村は、九州のとんこつラーメンと東京の醤油ラーメンを融合させた「豚骨醤油」という新ジャンルを生み出した。太麺に海苔、ほうれん草、チャーシューというスタイルは、当時としては前例がなく、瞬く間に行列を呼ぶ人気店となった。「家系」の名は、吉村家から暖簾分けした店が「〇〇家」と名乗ったことに由来する。
- 1974年:吉村実が横浜・杉田エリアに吉村家を創業。家系ラーメンの歴史が始まる
- 1990年代後半:津村進が吉村家に入門。約1年の修行を経て免許皆伝
- 1999年:吉村家が横浜駅西口エリアに移転
- 1999年9月:津村進が新杉田に杉田家をオープン(直系1号店)
- 2005年:厚木家オープン(吉村実の次男・吉村政紀が経営)
- 2011年:杉田家 千葉祐光店オープン(津村の息子が経営)
- 2022年3月:杉田家 千葉駅前店オープン(3号店)
- 2024年9月:家系ラーメン50周年(1974年9月創業から半世紀)
- 2024年9月:サンヨー食品とのコラボカップ麺「名店の味 杉田家」発売
- 2025年1月:公式オンラインストアで冷凍ラーメン通販を正式開始
吉村家直系店舗の全貌──全国に散らばる正統の系譜

吉村家の直系店舗は、全国に約13店舗しか存在しない。筆頭の杉田家(1999年、横浜)を皮切りに、はじめ家(富山県魚津市)、厚木家(2005年、神奈川県厚木市/吉村実の次男が経営)、上越家(2009年、新潟県上越市)、末廣家(2013年、横浜市六角橋)、環2家(横浜市下永谷/2021年に直系昇格)、高松家(香川県高松市)、内田家(2020年、福岡市博多区)などが名を連ねる。北は新潟から南は福岡まで点在しているが、いずれも吉村実の厳しい修行をくぐり抜けた精鋭たちの店だ。
「直系」と「資本系」の決定的な違い
現在、日本全国に1,000店舗以上の「家系ラーメン」を標榜する店が存在するが、そのほとんどは「資本系」と呼ばれるチェーン店だ。壱角家や町田商店などがその代表格で、吉村家との直接的な師弟関係はない。フランチャイズやセントラルキッチン方式で大量出店するビジネスモデルだ。
「家系ラーメン」と看板に掲げている店がすべて吉村家の系譜というわけではない。吉村家の直系は全国で約13店舗のみ。チェーン展開する資本系の店舗は、吉村家のスタイルを模倣した「インスパイア系」であり、師弟関係に基づく「直系」とは根本的に異なる。杉田家は、その貴重な「直系」の中でも最初の1店舗目だ。
杉田家と吉村家のスープの違い
同じ直系でも、杉田家と吉村家のスープには微妙な違いがある。吉村家のスープは鶏油(チーユ)の風味がより強く、醤油ダレのパンチが激烈で、口に入れた瞬間に複雑な旨味が爆発するようなスタイル。一方、杉田家のスープは「吉村家よりも気持ち優しく、全体のバランスが取れている」と評されることが多い。豚骨の旨味、醤油のキレ、鶏油の甘い香りが三位一体となり、どの要素も突出せずに調和している。吉村家が「攻め」なら、杉田家は「美しいバランス」の一杯だ。
家系ラーメン50周年──吉村実が今も寸胴の前に立つ理由
2024年9月、家系ラーメンは誕生から50周年を迎えた。この節目に、杉田家の公式Xアカウントは感慨深い投稿をしている──「吉村実会長は今も毎朝2時に起きて、自ら寸胴の前に立っている」。80歳を超えた吉村が半世紀経っても現場に立ち続ける姿は、家系ラーメンの「本物」とは何かを雄弁に物語る。杉田家の津村進もまた、四半世紀にわたって毎日カウンターに立ち続けている。師匠と弟子が、それぞれの持ち場で寸胴に向かう——家系ラーメン50年の歴史は、こうした職人たちの日々の積み重ねで作られてきたのだ。
自宅で杉田家の味を|カップ麺・冷凍ラーメン・オンラインストア情報
サンヨー食品「名店の味 杉田家」カップ麺の再現度
2024年9月30日、サンヨー食品から「サッポロ一番 名店の味 杉田家 横浜濃厚豚骨醤油 大口径」が発売された。吉村家直系1号店の味をカップ麺で再現するという、家系ファンにとっては歴史的な商品だ。スープはチキンとポークの旨味をベースに醤油を合わせ、甘みのある鶏油の風味を効かせた仕上がり。麺はつるみのあるもっちり太麺で、店の酒井製麺の雰囲気を再現している。具材にはチャーシュー、ほうれん草に加え、別添の焼のり2枚が付属。家系三種の神器を自宅で手軽に味わえる。
公式オンラインストアの冷凍ラーメン
2025年1月27日、杉田家は公式オンラインストア(sugitaya.shop)を正式オープンし、「真空急速冷凍 特製ラーメン」の通販を開始した。吉村家直系1号店が通販を始めるのは画期的な出来事であり、遠方で店舗に行けないファンにとっては待望のサービスだ。冷凍ラーメンには、麺、スープ、鶏油、チャーシュー、ネギ、ほうれん草、海苔が含まれており、自宅で本格的な杉田家の味を再現できる。入荷は毎週火曜日の朝7時に公式Xで告知されるが、人気のため即完売になることも多い。
店頭自販機でのお持ち帰りラーメン
オンライン通販と同時に、本店には冷凍ラーメンの自動販売機が設置された。店舗で仕込んだスープや具材をその場で冷凍したものを販売しており、行列に並ぶ時間がないときや、お土産として購入する人が増えている。自販機なら営業時間外でも購入できる可能性があるのが大きなメリットだ。ラーメンを食べた後に「家でも食べたい」と思ったら、帰りがけに自販機で1つ買って帰るのが杉田家の新しい楽しみ方だ。
テイクアウト調理のコツ
杉田家の冷凍ラーメンを自宅で最高の状態で楽しむためのコツがある。まず、スープは湯煎でじっくり温めるのが基本(電子レンジだとムラができやすい)。麺は大きな鍋でたっぷりのお湯を沸かし、指定の茹で時間を守ること。丼はあらかじめ熱湯で温めておくと、スープが冷めにくくなる。仕上げに鶏油を最後に回しかけるのがポイントで、この鶏油のひと回しが店の味に近づける決定打だ。海苔はスープに浸す直前まで別にしておき、提供時に立てかけるようにすると、見た目も店さながらに仕上がる。
まとめ:杉田家は家系ラーメン発祥の地を守る最高峰の一杯

杉田家について、知っておきたいポイントを振り返ろう。
- 吉村家直系1号店──家系ラーメンの総本山の「一番弟子」が営む最高峰の店
- 家系ラーメン発祥の地・横浜市新杉田で、1999年から四半世紀以上営業
- JR新杉田駅から徒歩約3分、営業時間は驚異の朝5時〜夜22時30分
- 酒井製麺の中太麺と生の鶏ガラにこだわった、キレとバランスのスープ
- ラーメン並盛890円、隠れた名物まぶし丼はライスと同じ150円
- 店主・津村進は元商社マンで、面接2回不合格を乗り越えて吉村家入門
- 千葉2店舗は息子・娘が経営する親子三代の物語
- 食べログ3.77・神奈川百名店複数年連続選出の実力
- 2025年1月にオンラインストア開始、全国から冷凍ラーメンのお取り寄せが可能に
家系ラーメンの歴史は1974年の吉村家から始まり、その一番弟子・津村進によって発祥の地に受け継がれた。全国に何千店もの「家系」が存在する中で、杉田家はその最も正統な血筋を持つ一杯を提供し続けている。「本物の家系ラーメンとは何か」──その答えは、朝5時の新杉田にある。
カウンターに座り、券売機で「ラーメン」のボタンを押し、「全部普通で」と告げる。目の前で豪快に麺を上げる店主の姿を眺めながら、半世紀の歴史が凝縮された一杯を待つ時間。それだけで、杉田家に来た価値がある。

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