大阪・難波に「王道家直系」を掲げる本格家系ラーメン店が現れた。その名は「我道家(がどうや)OSAKA本店」。2024年12月28日にオープンし、食べログ評価3.60を叩き出した実力店だ。実はこの店、家系ラーメンの総本山・吉村家の直系だった王道家の系譜を受け継ぐ、関西では極めて貴重な存在。しかも店主の新井悠介は元格闘家という異色の経歴の持ち主で、奈良天理での大炎上を乗り越えて復活した不屈の男でもある。
この記事では、我道家 大阪に行く前に知っておきたい情報を余すところなくまとめた。
- 営業時間・アクセス・行列の攻略法など実用情報
- 3種のスープと「お好みコール」の注文システム
- 店主・新井悠介の格闘家→ラーメン職人という壮絶な人生
- 吉村家→王道家→我道家へと受け継がれる家系の系譜
我道家 大阪とは|王道家直系の本格家系が難波に上陸した理由
「王道家直系」が意味する重み
我道家 OSAKA本店の正式名称は「王道家直系 我道家 OSAKA本店」。この「直系」という二文字が持つ意味は、家系ラーメンの世界では非常に重い。直系とは、本店で修行を積み、師匠から正式にのれん分けの許可を得た店のことを指す。つまり我道家は、店主・新井悠介が千葉県柏市の王道家で清水裕正のもと修行し、「本物の家系を関西に広めてほしい」という願いを託されて独立した店なのだ。王道家の直系は全国でも数店舗しか存在せず、関西圏では我道家が唯一の直系店舗となっている。
なぜ大阪・難波の地が選ばれたのか
我道家は2022年1月に奈良県天理市に総本店をオープンしたが、店主・新井の目標は最初から「関西から西日本へ」というスケールの大きなものだった。天理で足場を固めた後、関西最大の繁華街である大阪・難波を次のターゲットに選んだ理由は明確だ。JR難波駅から徒歩1〜3分という圧倒的な好立地に加え、なんばWalkの地下街からもアクセスしやすい好立地。さらに大阪はラーメン激戦区でありながら、本物の家系ラーメンが圧倒的に不足している地域でもあった。新井はCAMPFIREでクラウドファンディングを実施し、「王道の家系で関西最強を目指す」というスローガンのもと、2024年12月28日のオープンを実現させた。
食べログ3.60の実力と口コミの傾向
オープンからわずか数か月で食べログ3.60(「とても良い」評価)、ラーメンデータベース90.163点という高評価を獲得した我道家 OSAKA本店。口コミでは「濃厚豚骨家系ラーメンの破壊力に驚いた」「本場の王道家の味が大阪で食べられるとは」「体が塩分を欲しているときにはたまらない」といった絶賛の声が並ぶ。一方で「本店スープの”こいめ”は塩分が強烈」「初回は味の濃さに面食らう」という声もあり、関西の味覚に慣れた人にはインパクトが大きい一杯であることがうかがえる。
大阪の家系ラーメン史における我道家の意義
横浜発祥の家系ラーメンは、長らく関東の文化だった。大阪の家系パイオニアは2009年に千林大宮でオープンした「そらの星」(東京・武蔵家で修行した店主が独立)とされるが、店舗数は関東と比べて圧倒的に少ない。大阪には戦国家(東花園)、あじどの(日本橋)、村西家(瑞光四丁目)などの家系店が存在するものの、王道家直系という「正統派の血筋」を持つ店は我道家が初めてだ。その意味で、我道家OSAKA本店の上陸は大阪の家系ラーメン史における重大な転換点といえる。
クラウドファンディングで実現した関西最強への挑戦
我道家の大阪出店は、CAMPFIREのクラウドファンディングによって資金面でも支えられた。リターンには限定グッズや特別メニューの先行体験権などが用意され、関西の家系ファンからの期待の高さがうかがえた。店主・新井は「関西最強の家系を目指す」と公言しており、大阪を足がかりに西日本全域への展開を構想している。千葉で生まれた王道家の味が、奈良を経由して大阪に到達し、さらに西へ向かおうとしている——その壮大な物語の現在進行形が、この我道家 OSAKA本店なのだ。
我道家OSAKA本店 完全ガイド|営業時間・アクセス・行列対策まで
所在地と最寄り駅からのアクセス
我道家 OSAKA本店は、大阪府大阪市浪速区湊町1-3-1 湊町リバープレイスB1Fに位置する。最寄り駅はJR関西本線「JR難波駅」で、徒歩わずか1〜3分という近さだ。地下鉄各線のなんば駅からも徒歩約3分、近鉄・阪神線の大阪難波駅からも徒歩約4分でアクセスできる。地下街「なんばWalk」からも近く、地下通路を経由して湊町リバープレイスのB1Fへアクセスできる。店舗は半地下のパティオのような空間にあり、看板を目印に降りていく形だ。
| 住所 | 大阪府大阪市浪速区湊町1-3-1 湊町リバープレイスB1F |
| 最寄駅 | JR難波駅 徒歩1〜3分/なんば駅 徒歩約3分 |
| 営業時間 | 火〜金 11:00-15:00・17:00-23:00/土日祝 11:00-15:00・15:30-23:00 |
| 定休日 | 月曜(祝日の場合は営業、翌日振替休業) |
| 席数 | カウンター20席 |
| 支払い | 券売機(現金) |
| 駐車場 | なし(近隣コインパーキング利用) |
| 開業日 | 2024年12月28日 |
| Googleマップ | 地図を見る |
| X(Twitter) | @Iekei_osaka(OSAKA本店公式) |
| @goingmyway123_321(我道家GROUP公式) |
営業時間と定休日の注意点
営業時間は曜日によって異なる点に注意が必要だ。火曜〜金曜は昼の部(11:00〜15:00)と夜の部(17:00〜23:00)に分かれ、2時間のブレイクタイムが入る。一方、土日祝は昼の部と夜の部の間隔がわずか30分(15:00〜15:30)とほぼ通し営業に近い。定休日は毎週月曜日だが、月曜が祝日の場合は営業し翌火曜日が休みとなる。また、材料がなくなり次第閉店する場合があるため、夜遅い時間帯の訪問は事前にSNSで確認しておくと安心だ。
行列・待ち時間の目安と攻略法
我道家 OSAKA本店は、特に週末に長い行列ができることで知られている。ピーク時には50人待ちになることもあるという。店外には待ち椅子が約10脚用意されており、それを超える行列は店舗看板付近の階段沿いに並ぶ形になる。
平日の開店15分前(10:45頃)に到着するのがベスト。この時間なら並びは7人前後で、開店と同時に着席できる可能性が高い。逆に11時の開店時には18人ほどに膨れ上がることも。夜の部の開始直後(17:00頃)も比較的空いている狙い目の時間帯だ。
卓上調味料と「無限にんにく」の魅力
我道家の各席には、家系ファンを喜ばせる豊富な卓上調味料が並んでいる。マヨネーズ、ラーメン酢、おろし生姜、粗挽き唐辛子、ゴマ、青にんにく、ラーメンペッパー、そして我道家の名物ともいえる「無限にんにく」。この無限にんにくは、ライスの上にたっぷり乗せてマヨネーズをかける「無限にんにくライス」として食べるのが常連の間で定番となっている。味変のバリエーションが豊富なので、一杯のラーメンで何通りもの楽しみ方ができる。
完全禁煙・カウンター席のみのストイックな空間
店内はカウンター20席のみという、家系ラーメンらしいストイックな造り。完全禁煙で、テーブル席やボックス席はない。一人でふらっと立ち寄りやすい反面、グループでの来店の場合は隣同士に座れないこともある。券売機で食券を購入してからカウンターに座る流れで、着席時にスープの種類とお好みを聞かれるので、事前に決めておくとスムーズだ。
全メニュー徹底解説|ラーメンから「我二郎」まで価格付き一覧
基本メニューと価格
我道家 OSAKA本店のメニューは、王道家直系らしく家系ラーメン一本勝負が基本だ。メインとなる「らあめん」は並盛950円。ここに具材のグレードが上がる「王道之らあめん」(1,220円)、「チャーシューめん」(1,130円)、「上チャーシューめん」(1,200円)と続く。ネギ好きには「ネギらあめん」(1,170円)や「ネギチャーシューめん」(1,350円)も用意されている。
| メニュー | 価格(税込) |
|---|---|
| らあめん 並盛 | 950円 |
| 王道之らあめん 並盛 | 1,220円 |
| チャーシューめん 並盛 | 1,130円 |
| 上チャーシューめん 並盛 | 1,200円 |
| ネギらあめん 並盛 | 1,170円 |
| ネギチャーシューめん 並盛 | 1,350円 |
大盛り・特盛りとトッピングの種類
麺の量は3段階から選べる。並盛が標準で、大盛(+180円)、特盛(+250円)と増量が可能だ。トッピングは単品で追加でき、うすぎり豚(+110円)、チャーシュー(+200円)、味玉(+130円)、ほうれん草(+110円)、のり(+110円)がラインナップ。トッピングは比較的リーズナブルな価格設定で、味玉やほうれん草増しは家系の醍醐味を存分に楽しめるのでおすすめだ。
ライスと海苔巻きの家系流儀
家系ラーメンに欠かせないのがライスだ。我道家OSAKA本店ではライス小150円・中200円で提供されている。海苔をスープに浸してライスを巻いて食べる「海苔巻きライス」は、家系ラーメンの醍醐味。スープの味がしっかり染み込んだ海苔で白米を包む瞬間は、家系ファンにとって至福のひとときだ。さらに卓上の無限にんにくやマヨネーズをライスに乗せれば、もう箸が止まらない。ラーメンだけで終わらせるのはもったいないので、ぜひライスも注文しよう。
つけ麺と「我二郎」という個性派メニュー
家系ラーメン一本かと思いきや、我道家には個性的なメニューも存在する。つけ麺は家系のスープをベースにした濃厚つけダレで食べるスタイルで、夏場の人気メニューだ。そしてもうひとつの名物が「我二郎」。名前からわかるようにラーメン二郎にインスパイアされた一杯で、家系の濃厚豚骨醤油スープに二郎系の野菜マシ・にんにくマシのスタイルを融合させた我道家オリジナル。家系と二郎系の「いいとこ取り」を狙った意欲作だ。さらに鶏油そばも取り扱いがあり、汁なし系が好きな人にも対応している。
初めての人におすすめの注文パターン
初訪問で迷ったら、まずは「らあめん並盛」(950円)を「本店」スープで注文するのが間違いない。お好みはすべて「ふつう」にして、王道家の味をそのまま体感するのがベストだ。2回目以降に「濃口」や「旨口」で味の違いを楽しむのが通な楽しみ方。麺の硬さは「かため」が人気だが、初回は「ふつう」でスープとの相性を確認してから調整するのがおすすめだ。
3種のスープと「お好みコール」|我道家だけの注文システム
濃口・本店・旨口の3タイプを完全解説
我道家の最大の特徴は、スープを3種類から選べる点にある。これは王道家本店にもない、我道家独自のシステムだ。「濃口(こいくち)」は我道家が王道家と同じレシピで自家製造した醤油ダレを使用。パンチの効いた濃厚な味わいが特徴だ。「本店(ほんてん)」は千葉・柏の王道家本店と同じ量・種類の醤油ダレを使い、本家の味を忠実に再現したもの。「旨口(うまくち)」は京都の老舗醤油蔵と共同開発した特別な醤油を使用し、まろやかで奥深い味わいに仕上がっている。それぞれの醤油ダレが異なるため、同じ豚骨醤油スープでもまったく違う味わいが楽しめるのだ。
| スープ | 醤油の特徴 | 味わい | おすすめ |
|---|---|---|---|
| 濃口 | 我道家自家製(王道家レシピ) | パンチ系・濃厚 | ガツンと来る味が好きな人 |
| 本店 | 王道家本店と同じ醤油 | 正統派・バランス型 | 初訪問・王道家の味を知りたい人 |
| 旨口 | 京都老舗蔵と共同開発 | まろやか・奥深い | 関西風の繊細さが好きな人 |
「お好みコール」の仕組みと指定方法
家系ラーメン独特の文化である「お好みコール」は、我道家でももちろん健在。着席時にスタッフから聞かれるのは以下の4つの項目だ。①麺の硬さ(かため・ふつう・やわらかめ)、②味の濃さ(こいめ・ふつう・うすめ)、③鶏油(チーユ)の量(多め・ふつう・少なめ)、そして④スープの種類(濃口・本店・旨口)。4つ目のスープ選択は我道家ならではのシステムで、ほかの家系店では見られない独自の仕組みだ。決めきれない場合は「全部ふつうで、スープは本店で」と伝えれば問題ない。
「本店」スープで体感する王道家の味
3種のスープの中でも、家系ファンがまず試すべきは「本店」一択だ。このスープは千葉県柏市にある王道家本店と同じ分量・同じ種類の醤油ダレを使用しており、関西にいながら本家・王道家の味をそのまま体験できる。王道家本店に行くためにわざわざ千葉まで足を運ぶ関西のラーメンファンも少なくないが、我道家 OSAKA本店の「本店」スープがあれば、その手間が省ける。味の再現度は極めて高いと評判で、「本場の王道家と遜色ない」という口コミが多数見られる。
京都の老舗醤油蔵と共同開発した「旨口」の秘密
関西ならではの一杯として注目したいのが「旨口」だ。これは我道家が京都の伝統ある醤油蔵と共同開発した特別な醤油ダレを使用しており、関東の家系特有のガツンとした塩気とは異なる、まろやかで深みのある味わいに仕上がっている。関西人の味覚に寄り添いつつも家系の骨太さは失わないという絶妙なバランスは、関西で家系を広めたいという新井の想いが詰まった一杯。「濃口」や「本店」が「攻め」のスープだとすれば、「旨口」は「包み込む」スープだ。
上級者向け「こいめ」の破壊力と味変テクニック
お好みで「味こいめ」を選ぶと、醤油ダレの量が増え、塩分とコクが大幅にアップする。特に「濃口」や「本店」スープで「こいめ」を指定すると、「強烈な塩分」「衝撃的な濃さ」と表現されるほどのインパクトがある。口コミでは「好きな人には病みつきになる」と評される一方、「初めてだと面食らう」という声も。まずは「ふつう」で全体のバランスを把握し、次回以降に「こいめ」に挑戦するのが賢い楽しみ方だ。また、味変には卓上のラーメン酢を少量加えると、濃厚なスープがさっぱりとリセットされて最後まで飽きずに食べ進められる。

スープ・麺・トッピング分析|我道家のラーメンの実力を徹底解剖
豚骨×鶏ガラ×醤油ダレが織りなす濃厚スープ
我道家のスープは豚骨と鶏ガラを長時間煮込んだ白濁スープに、醤油ダレを合わせた家系の王道スタイル。提携牧場から仕入れた良質な豚骨を惜しみなく使い、一般的なラーメン店よりも多くの骨からスープを抽出している。表面には鶏油(チーユ)がたっぷりと浮かび、口に運ぶと最初にこの鶏油の甘い香りが広がり、続いて豚骨のコクと醤油の旨味が押し寄せてくる。その味わいは「濃厚なのに後味がすっきり」と評されることが多く、獣臭さや雑味が抑えられた上品な仕上がりだ。
千葉から取り寄せる平打ち中太ストレート麺
我道家の麺は千葉県から取り寄せた平打ち中太ストレート麺を使用している。これは王道家グループの自家製麺の流れを汲むもので、吉村家直系時代に使用していた酒井製麺の麺とは異なる系統だ。モチモチとした弾力があり、濃厚なスープをしっかりと持ち上げるグリップ力が特徴。太すぎず細すぎない絶妙な太さで、スープとの一体感に優れている。「かため」で注文するとコシがさらに際立ち、歯切れの良い食感が楽しめる。
燻製チャーシューと「三種の神器」
家系ラーメンの「三種の神器」といえば、チャーシュー・ほうれん草・海苔。我道家のチャーシューは豚モモ肉の燻製で、スモーキーな香りと分厚い食べ応えが特徴だ。ほうれん草はたっぷり盛られ、海苔は3枚の大判がスープに浸かるようにして立てて提供される。この海苔がスープの旨味を吸い、ライスを包んで食べる「海苔巻きライス」は家系の伝統芸だ。見た目にも「これぞ家系」と言わんばかりの風格あるビジュアルで、丼の迫力は写真映えも抜群だ。
家系の食べ方の流儀|海苔巻きライスの正しい作法
我道家を存分に楽しむなら、家系の食べ方の流儀を知っておこう。まず、海苔1枚をスープに半分だけ浸す。スープを吸ってしんなりした海苔を箸で持ち上げ、ライスの上に置いて包む。これが基本の「海苔巻きライス」だ。さらに通な食べ方としては、ラーメンをある程度食べ進めたら残りのスープにライスを直接投入して「おじや風」にするテクニックもある。我道家の濃厚スープとライスの相性は抜群で、ラーメンだけで終わらせるのはもったいない。ぜひライスも一緒に注文して、家系の食べ方を存分に堪能してほしい。
「こいめ」と「ふつう」で変わる味の世界
同じ「本店」スープでも、味の濃さの指定によってまったく異なる体験になる。「ふつう」は豚骨と醤油のバランスが取れた正統派の味わいで、初めての人でも食べやすい仕上がり。一方「こいめ」にすると醤油ダレの主張が一気に強まり、濃厚な塩味と旨味が舌を直撃する。口コミでは「ふつうでも十分に濃い」「こいめは覚悟が必要」という声が多い。関西のラーメンに慣れた人は、まず「ふつう」から始めることを強くおすすめする。逆に関東の家系に慣れている人なら、最初から「こいめ」で攻めても楽しめるだろう。
店主・新井悠介の壮絶人生|格闘家から家系ラーメン職人への転身
THE OUTSIDERで戦った格闘家時代
新井悠介、1987年4月12日生まれ。我道家の店主であり、「我道家GROUP」を率いる「スモールBOSS」。実は彼がラーメン職人になる前の肩書きは「格闘家」だった。26歳から32歳まで、前田日明がプロデュースする格闘技イベント「THE OUTSIDER」に参戦。プロのリングで拳を交え、最終ランキング3位という実績を残した。しかし10周年記念大会のメインイベントでタイトルマッチに敗れ、格闘家としてのキャリアに幕を下ろした。
王道家・清水裕正との運命的な出会い
格闘家を引退した新井が次の道を模索していたとき、YouTubeである人物に出会う。千葉県柏市の王道家を営む清水裕正だ。清水の人柄とラーメンへの情熱に惹かれた新井は、家系ラーメンの世界に飛び込むことを決意。千葉の王道家で修行を開始した。新井は後にこう語っている——「もし清水社長の過去の炎上がなければ、王道家も家系ラーメンも知るきっかけがなかった。我道家自体、存在していないことになる」。格闘家として培った精神力と、清水から学んだ家系の技術が融合し、我道家は産声を上げたのだ。
「スモールBOSS」が率いる我道家GROUPの全貌
新井は自身のX(旧Twitter)のプロフィールに「スモールBOSS」と記している。大きなことを言わず、地に足をつけて一店舗ずつ積み上げていく姿勢の表れだ。現在の我道家GROUPは直営4店舗、グループ合計6店舗を展開。法人としては新井商事株式会社が運営し、親会社の株式会社K・N・Tが奈良県内の他のラーメン事業も手がけている。我道家ブランド以外にも、「脂醤油組」(奈良・葛城と三重・松阪に展開)など、多角的にラーメン事業を展開している。
「関西から西日本へ」という壮大なビジョン
新井の目標は大阪にとどまらない。クラウドファンディングの際に掲げた「関西最強を目指して12月大阪難波で開業します。関西から西日本へ」というスローガンは、彼の本気の宣言だ。現在、奈良に総本店と脂醤油組、三重にも脂醤油組を展開し、大阪OSAKA本店の成功によって西日本攻略の足がかりを着実に固めている。新井は「どんな時も清水社長の味方であって応援する」と公言しており、王道家と二人三脚で本物の家系ラーメンを全国に広めるという使命を背負って走り続けている。
炎上を乗り越えた不屈のメンタリティ
新井の精神力は、奈良天理でのオープン時の大炎上で証明されている(詳細は後述)。全スタッフが初日を迎え、想定以上の客が殺到し、営業が崩壊。SNSで「我道家 炎上」がトレンド入りし、半年以上にわたって誹謗中傷を浴び続けた。普通なら心が折れてもおかしくない状況だが、新井は「必ず乗り越える」と踏ん張り、全員で改善を重ねた。格闘家として何度もリングで立ち上がってきた不屈の精神が、ラーメンの世界でも発揮されたのだ。
王道家・清水裕正の物語|吉村家修行から破門、そして自家製麺への挑戦
28歳で吉村家に入門した「元ワル」の覚悟
我道家の師匠にあたる王道家の店主・清水裕正もまた、壮絶な人生を歩んできた男だ。千葉の我孫子や茨城の取手を転々としながら育った清水は、学生時代を自ら「ホント、シャレにならないくらいのワルだった」と振り返る。転機は高校時代に食べた「ラーメンショップ」の一杯。ラーメンの魅力に目覚めた清水は、25歳でそれまでの人生を見つめ直し、ラーメン屋になることを決意。28歳で家系ラーメンの総本山「吉村家」に入門した。
給料ゼロ・休みゼロの修行を半年で制覇
吉村家の修行は過酷を極める。給料なし、休みなし——それが当たり前の世界だ。しかし清水は、回り道をしてからの入門だったからこそ「一刻も早く独立したい」という強い想いがあった。結果、通常なら数年かかる全ての仕事をわずか半年で習得。入門からたった1年の2003年1月に、千葉県柏市に吉村家直系として王道家をオープンさせた。この異例のスピード独立は、清水の類まれな集中力と覚悟を物語っている。
「家系四天王」と呼ばれた全盛期
王道家は吉村家の直系店舗の中でも特に高い評価を受け、「家系四天王」の一角に数えられるまでに成長した。四天王とは、杉田家(直系1号店)、環2家、はじめ家、そして王道家の4店舗を指す。いずれも吉村家の厳しい修行をくぐり抜けた店主が営む実力店で、家系ラーメンファンの間では「直系の中の直系」として崇められてきた存在だ。王道家の名が全国に轟いたのはこの時期であり、清水裕正は家系ラーメン界の重鎮としての地位を確立した。
2011年の破門と「親を取るか、子を取るか」の決断
2011年、王道家は吉村家から破門された。直系離脱の直接的な理由は、吉村家直系の証である酒井製麺の麺を使わず、自家製麺に切り替えたこと。しかし清水自身が語る真の理由はもっと深い。弟子たちの独立支援や従業員の待遇改善など、経営方針が吉村家の「家風」と合わなくなったのだ。清水は「親(吉村家)を取るか、子(弟子たち)を取るか」という苦渋の決断を迫られ、弟子たちを見捨てることはできなかった。破門後も清水は「自分をここまでにしてくれたのは、紛れもなく吉村家」と感謝と尊敬の念を忘れない姿勢を貫いている。
1,000万円をかけた自家製麺の開発秘話
直系離脱により酒井製麺の麺が使えなくなった清水は、自家製麺の開発に着手した。しかし、これは想像以上に困難な道だった。複数の有名製麺所に似た麺の製造を依頼したが、どれも納得がいかない。結局、清水は1,000万円以上を投じて製麺機を導入し、専門スタッフを雇い、成分分析を含む科学的なアプローチで理想の麺を追求した。完成した自家製麺は酒井製麺に「何ら遜色ないクオリティ」と評されるまでになったが、清水自身はまだ完全に満足しておらず、現在も日々麺の研究を続けているという。この自家製麺の技術が、我道家を含む王道家グループの全店舗に受け継がれている。
家系ラーメンの系譜|吉村家→王道家→我道家のつながりを完全図解
すべては1974年の横浜・吉村家から始まった
家系ラーメンの歴史は、1974年に吉村実が横浜で創業した「吉村家」から始まる。豚骨醤油スープに太麺を合わせ、海苔・ほうれん草・チャーシューという三種の神器をトッピングするスタイルを確立した。「家系」という名称は、吉村家からのれん分けした店が「〇〇家」と名乗ることから自然発生的に広まったものだ。半世紀を経た現在、家系ラーメンは全国に何千店舗と存在するが、そのすべてのルーツは横浜の吉村家に行き着く。
- 1974年:吉村実が横浜に吉村家を創業。家系ラーメンの歴史が始まる
- 2002年頃:清水裕正(28歳)が吉村家に入門。給料なし・休みなしの修行開始
- 2003年1月:清水が千葉県柏市に王道家をオープン(吉村家直系)
- 2011年:王道家が自家製麺に切り替え、吉村家から破門
- 2017年7月:王道家が茨城県取手市に移転
- 2019年10月:王道家が柏市に帰還
- 2021年7月:IEKEI TOKYOが東京・末広町にオープン
- 2022年1月:新井悠介が奈良県天理市に我道家 総本店をオープン
- 2024年12月:我道家 OSAKA本店が大阪・難波にオープン
王道家グループの全店舗一覧
清水裕正が築き上げた王道家グループは、現在20店舗以上に拡大している。代表的な店舗を紹介しよう。直系店としては、柏の王道家本店を筆頭に、千葉の王道いしい(2017年)、東京・末広町のIEKEI TOKYO(2021年)、横浜のとらきち家、千葉・野田の神道家、滋賀・彦根の近江道家、静岡・伊豆の王道鈴家、千葉・印西の王道家直系 修(2024年)が存在する。直伝店としては松戸のとの丸家が複数店舗を展開し、味の継承店として東京・大森と千葉・行徳にカズ家がオープンしている。
「直系」「直伝」「味の継承店」の違いとは
王道家グループの店舗は3つのカテゴリに分かれている。「直系店」は王道家で本格的に修行を積み、清水から独立の許可を得た店舗。最も本店の味に近く、格が高い。「直伝店」は「との丸家」チェーンに代表される、フランチャイズ的な運営形態の店舗。「味の継承店」は2025年に新設された比較的新しいカテゴリで、王道家の味とレシピを受け継ぎつつ独自の運営を行う店舗だ。我道家は「直系店」に分類されており、これは清水裕正が新井悠介の腕と姿勢を認めた証でもある。
「家系ラーメン」と看板に掲げている店がすべて吉村家の系譜というわけではない。チェーン展開する壱角家や町田商店などの「資本系」は、吉村家とは直接の師弟関係がない別系統の店舗だ。「直系」の重みは、まさにこの系譜の正統性にある。
我道家 奈良天理の総本店という起点
我道家の物語は大阪ではなく、奈良県天理市から始まった。「IEKEI KANSAI 王道家直系 我道家」として2022年1月23日にオープンした天理の総本店は、王道家グループとして関西初の直系店舗だった。現在も我道家GROUPの本拠地として営業しており、大阪OSAKA本店と並ぶ存在だ。天理店は「IEKEI KANSAI」の冠をつけていることからもわかるように、新井が関西における家系ラーメンの拠点として位置づけた、すべての始まりの場所である。
炎上から大逆転した奈良総本店の復活劇
天理総本店のオープン初日は大混乱に陥った。全スタッフが初日の出勤で、全国から押し寄せた家系ファンを捌ききれず営業中止に追い込まれたのだ。SNSでは「我道家 炎上」がトレンド入りし、顧客からの苦情と誹謗中傷が半年以上続いた。開店景気が終わると1年以上にわたって閑古鳥が鳴く状態となり、存続すら危ぶまれた時期もあったという。しかし新井と全スタッフは「必ず乗り越える」と信じ、味の改善とオペレーションの見直しを愚直に積み重ねた。その結果、現在は昼前から行列ができる人気店に大逆転。「炎上からの復活劇」として語り草になっている。
まとめ:我道家 大阪は本物の家系を関西で味わえる唯一の直系店
我道家 OSAKA本店について、知っておきたいポイントを振り返ろう。
- 王道家直系の称号を持つ、関西唯一の正統派家系ラーメン店
- JR難波駅から徒歩1〜3分、なんば各駅からもアクセス抜群の好立地
- 3種のスープ(濃口・本店・旨口)から選べる独自システム
- 初回は「本店」スープ・お好み全部「ふつう」が鉄板
- ライスを注文して海苔巻きライスは必食
- 店主・新井悠介はTHE OUTSIDERランキング3位の元格闘家
- 師匠・清水裕正は吉村家出身の家系四天王の一人で、1,000万円かけて自家製麺を開発
- 奈良天理総本店の炎上→1年以上の閑古鳥→行列店に大逆転した復活劇
家系ラーメンの歴史は、1974年の吉村家から始まり、王道家の清水裕正によって受け継がれ、我道家の新井悠介によって関西の地に根を下ろした。50年の歴史を持つ家系の系譜が、大阪・難波で一杯のラーメンとして結実している。「本物の家系ラーメンとは何か」——その答えを知りたければ、我道家 OSAKA本店のカウンターに座り、「本店、全部ふつうで」と注文してみてほしい。
きっと、家系ラーメンの奥深さに驚くはずだ。



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