「ラーメンって塩分が多いのは分かってるけど、実際どれくらい入ってるの?」——そんな疑問を持ったことはありませんか?
結論から言うと、ラーメン1杯の塩分量は平均6〜7g。これは日本人の1日の塩分摂取目標(男性7.5g未満)のほぼ全量に相当します。しかも、種類によって塩分量には大きな差があり、二郎系ラーメンは最大25gという驚きのデータも。
この記事では、ラーメンの種類別・店舗系統別の塩分ランキングを徹底解説。「どのラーメンが塩分高め?」「スープを残すとどれくらい減塩できる?」といった疑問にすべてお答えします。
ラーメン1杯に含まれる塩分量はどれくらい?

平均的なラーメンの塩分は6〜7g
日本高血圧学会の調査によると、一般的なラーメン店で提供されるラーメン1杯(スープ含む)に含まれる塩分量は、平均で約7gとされています。店舗や地域、ラーメンの種類によって幅がありますが、概ね5.5g〜8gの範囲に収まることが多いです。
この数字がどれほどのものか、1日の塩分摂取目安と比較してみましょう。
- 厚生労働省の目標値:男性7.5g未満、女性6.5g未満
- 日本高血圧学会の推奨:6g未満
- WHO(世界保健機関)の推奨:5g未満
つまり、ラーメン1杯を完食するだけで、1日の塩分摂取目標の75〜100%を摂取してしまう計算になります。生活習慣病を気にする方にとっては、かなりインパクトのある数字です。
塩分はどこに含まれている?麺とスープの内訳
ラーメンの塩分は、大きく分けて麺とスープに含まれています。その内訳を見てみましょう。
| 部位 | 塩分量 | 割合 |
|---|---|---|
| 麺 | 1〜2g | 約20〜30% |
| スープ | 5〜6g | 約70〜80% |
ご覧の通り、塩分の約70〜80%はスープに含まれています。これが「スープを残せば減塩になる」と言われる理由です。麺だけを食べてスープを全部残した場合、塩分摂取量は1〜2g程度にまで抑えられます。
麺に塩分が含まれる理由
「麺にも塩分が入っているの?」と意外に思う方もいるかもしれません。実は、麺に塩を加えるのには製麺上の重要な理由があります。
麺の材料である小麦粉は、水と混ぜるとグルテンという成分ができます。このグルテンが麺のコシを生み出すのですが、塩を加えることでグルテンが引き締められ、より弾力性のある麺に仕上がります。塩なしで作った麺は、ブツブツと切れやすく、食感も物足りないものになってしまうのです。
製麺所によって麺の塩分量は異なります。一般的な中華麺は100gあたり約1.2gの塩分を含みますが、讃岐うどんのような麺は100gあたり約2.5gとさらに多め。麺のコシと塩分量は、ある程度トレードオフの関係にあるのです。
スープに塩分が多い理由
ラーメンスープの塩分が多い理由は、主に3つの要因があります。
1. 調味料自体の塩分含有量
醤油は約15%の塩分を含んでいます。200mlのスープに50ml(大さじ約3杯強)の醤油が使われる場合、それだけで約7.5gの塩分が加わります。味噌も約12%の塩分を含んでおり、これらの調味料を使う限り、高塩分は避けられません。
2. 塩分の味覚的な効果
塩分には旨味を増強する効果があります。食材に含まれるグルタミン酸などの旨味成分を引き立て、料理を美味しく感じさせる働きがあるのです。また、塩分は香り成分の揮発性を高め、風味を拡散させる作用もあります。つまり、美味しいラーメンを作るには、ある程度の塩分が必要なのです。
3. 具材からの塩分
チャーシューは下味をつけた煮豚であり、メンマやなるとなどの加工食品にも塩分が含まれています。これらがスープに溶け出すことで、さらに塩分量が増加します。
【種類別】ラーメンの塩分ランキング
スープの味による塩分の違い
ラーメンの塩分量は、スープのベースとなる調味料によって大きく変わります。各種類の塩分量を比較してみましょう。
| 順位 | 種類 | 塩分量 |
|---|---|---|
| 1位 | 塩ラーメン | 5.5〜5.9g |
| 2位 | 味噌ラーメン | 5.1〜6.0g |
| 3位 | 豚骨ラーメン | 5.1〜7.0g |
| 4位 | 醤油ラーメン | 4.5〜5.0g |
意外にも、塩ラーメンが最も塩分が高いという結果に。「塩」という名前から当然のようにも思えますが、醤油や味噌ラーメンも相当な塩分を含んでいるため、その差は僅かです。
塩ラーメンが塩分トップの理由
塩ラーメンは、醤油や味噌のような発酵調味料の旨味に頼れない分、塩そのものの量で味を調えます。また、塩ラーメンはスープの透明度が売りのため、調味料の色がつかない分、塩の使用量が増える傾向にあります。
ただし、塩ラーメンは店舗による差も大きく、高級な天然塩を使う店では、ミネラル感で旨味を出すため、塩分量を抑えている場合もあります。
醤油ラーメンが意外と低い理由
醤油ラーメンが比較的塩分が低い理由は、醤油自体が持つ旨味成分にあります。醤油にはグルタミン酸などの旨味成分が豊富に含まれており、少量でも深い味わいを出すことができます。そのため、塩分だけで味を決める塩ラーメンよりも、結果的に塩分量が抑えられる傾向にあります。
豚骨ラーメンは店舗差が大きい
豚骨ラーメンは5.1g〜7.0gと幅があります。これは、豚骨スープのベースに何を合わせるかで大きく変わるためです。
- 豚骨×醤油(家系ラーメンなど):7g前後
- 豚骨×塩(博多ラーメンなど):5〜6g
- 豚骨×味噌:6g前後
また、博多ラーメンは替え玉文化があるため、1杯あたりの麺量が少なく設計されています。そのため、替え玉をしなければ塩分量は比較的抑えられますが、替え玉をするとその分塩分も増加します。
「豚骨ラーメンは濃厚だから塩分が高い」と思われがちですが、実際はスープの濃厚さと塩分量は必ずしも比例しません。白濁した豚骨スープの濃厚さは脂肪分やコラーゲンによるもので、塩分とは別の要素です。
【系統別】人気ラーメンの塩分比較

家系ラーメンの塩分は約7g
家系ラーメンは、1974年に横浜で誕生した豚骨醤油ラーメンの一大ジャンルです。濃厚な豚骨ベースに醤油ダレと鶏油を合わせたスープが特徴で、その塩分量は約7gと高めの水準にあります。
家系ラーメンの塩分が高い理由は以下の通りです。
- 醤油ダレ(カエシ)の塩分が濃い
- 「味濃いめ」を好むファンが多く、標準でも濃いめの設定
- ライスと一緒に食べる文化があり、ご飯に合う濃い味付け
ただし、家系ラーメンは「お好み」システムがあり、「味薄め」を選ぶことで塩分を抑えることも可能です。
二郎系ラーメンは驚異の10〜25g
塩分量で群を抜いているのが二郎系ラーメンです。その塩分量はなんと1杯あたり10〜25g。1日の塩分摂取目標を、1杯で2〜4倍も上回る衝撃的な数字です。
| 系統 | 塩分量 | 1日目標との比較 |
|---|---|---|
| 二郎系 | 10〜25g | 130〜330% |
| 家系 | 約7g | 約95% |
| 博多豚骨 | 5〜6g | 65〜80% |
| 一般的な醤油 | 4.5〜5g | 60〜65% |
二郎系の塩分が極端に高い理由
二郎系ラーメンの塩分が異常に高い理由は、複数の要因が重なっています。
1. 麺の量が圧倒的に多い
二郎系の「小」でも麺量は約300g、「大」になると400g以上になります。一般的なラーメンの麺量(120〜150g)と比べると2〜3倍。麺自体にも塩分が含まれるため、量が増えれば塩分も増えます。
2. 濃厚なタレ
二郎系のスープは、豚骨と野菜を煮込んだベースに濃い醤油ダレを合わせます。ボリューム満点の麺と野菜に負けない味を出すため、タレの量も多くなります。
3. 「カラメ」コール
二郎系では「ニンニク入れますか?」のコールが有名ですが、この時に「カラメ(味濃いめ)」を追加すると、さらに醤油ダレが増量されます。カラメを選ぶと、塩分量は通常の1.2〜1.5倍になることも。
二郎系の塩分量は店舗によって大きく異なります。「ラーメン二郎」の直系店舗でも、店主の裁量によって味付けが違うため、同じ「小ラーメン」でも塩分量に幅があります。「店による」というのが二郎ファンの間では定説です。
つけ麺は意外と高塩分

「スープに麺を浸けるだけだから塩分少なそう」と思われがちなつけ麺ですが、実はラーメンと同等かそれ以上の塩分量になることがあります。
その理由は、つけ麺のつけ汁は濃縮されているから。通常のラーメンスープより少量のつけ汁に味を凝縮させているため、塩分濃度が高くなっています。麺をつけ汁に浸けることで、結果的に摂取する塩分量はラーメンと大差なくなります。
特に「スープ割り」をしてつけ汁を飲み干す場合は、6〜8g程度の塩分摂取になることが多いです。
カップラーメン・インスタント麺の塩分ランキング

カップラーメンの平均塩分は5〜6g
自宅で手軽に食べられるカップラーメンの塩分量は、1食あたり5〜6gが平均です。お店のラーメンより若干少ないものの、1日の摂取目安の大半を占める量であることに変わりありません。
| 商品名 | 塩分量 |
|---|---|
| どん兵衛 鴨だしそば | 6.2g |
| ごつ盛り ワンタン醤油ラーメン | 6.2g |
| 赤いきつねうどん(東日本) | 6.6g |
| 麺職人 醤油 | 5.7g |
| カップヌードル 味噌 | 5.2g |
| どん兵衛 きつねうどん(西日本) | 5.2g |
| カップヌードル | 4.9g |
| カップヌードル シーフード | 4.7g |
| カップヌードル カレー | 4.4g |
大盛り・1.5倍サイズは要注意
「1.5倍」や「大盛り」サイズのカップラーメンは、塩分量も比例して増加します。1.5倍サイズの商品では、1食で7.9gという高塩分になるものも。これは1日の塩分摂取目安を1食でオーバーするレベルです。
減塩カップラーメンという選択肢
最近は減塩カップラーメンも各社から発売されています。代表的な商品の塩分量を見てみましょう。
- エースコック だしの旨味で減塩中華そば:塩分40%カット(約3g台)
- エースコック 野菜ちゃんぽん:3.3g
- 日清 カップヌードルPRO シーフード:塩分25%オフ
- マルタイ 減塩タンメン:2.9g
減塩タイプは通常の半分以下の塩分量に抑えられているものもあり、塩分を気にする方にとっては良い選択肢です。ただし、味の満足度については個人差があるため、いくつか試して自分に合うものを見つけるのがおすすめです。
袋麺とカップ麺の違い
袋入りインスタントラーメンの塩分量は5〜6g程度で、カップ麺とほぼ同等です。ただし、袋麺の場合はスープの量を自分で調整できるメリットがあります。
説明書通りの水分量で作ると塩分が濃くなりがちですが、水を多めにしてスープを薄めたり、スープの素を全量使わずに調整することで、塩分摂取量をコントロールできます。
塩分を抑えてラーメンを楽しむ方法
スープを残すだけで70%カット
最も簡単で効果的な減塩方法は、スープを残すことです。前述の通り、ラーメンの塩分の70〜80%はスープに含まれています。
- スープ完飲:6〜7g(全量摂取)
- スープ半分残す:4〜5g(約30%カット)
- スープ全部残す:1〜2g(約70〜80%カット)
「スープまで飲み干すのがラーメンの醍醐味」という気持ちは十分理解できますが、健康面を考えるとスープは残すのが賢明です。特に、血圧が気になる方や腎臓に不安がある方は、スープを飲み干すことは避けた方がよいでしょう。
「味薄め」を注文する
家系ラーメンをはじめ、多くのラーメン店では「お好み」で味の濃さを選べます。「味薄め」を選ぶことで、タレの量が減り、塩分摂取量を10〜20%程度抑えられます。
「薄いと物足りないのでは?」と心配する方もいますが、実際に試すと出汁の風味がより感じられるという声も。まずは一度試してみて、自分の味覚に合うかどうか確認してみてください。
卓上調味料を控える
ラーメン店のテーブルには、醤油、ラー油、酢、胡椒などの調味料が並んでいることが多いです。これらを追加すると、当然ながら塩分量は増加します。
特に追加の醤油や味付き調味料は塩分が高いため、控えめにするのが減塩のコツです。逆に、酢は塩分を含まず、さっぱりとした味変ができるのでおすすめです。
野菜を多めに食べる
野菜に含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。ラーメンを食べる際に野菜トッピングを追加したり、前後の食事で野菜を多く摂ることで、塩分の影響を軽減できます。
二郎系ラーメンの「野菜マシ」は、ボリューム的にはすごいことになりますが、塩分対策の観点からは理にかなった選択と言えるかもしれません。
水分を十分に摂る
塩分を摂りすぎた後は、水分を十分に摂ることが大切です。水分を摂ることで、腎臓からナトリウムを排出しやすくなります。ただし、これは「塩分を摂っても水で帳消し」という意味ではなく、あくまで補助的な対策です。
ラーメンの塩分と健康リスク

塩分過多が引き起こす健康問題
塩分の過剰摂取は、さまざまな健康問題のリスクを高めます。
- 高血圧:塩分が血中のナトリウム濃度を上げ、血管に負担をかける
- 心臓病・脳卒中:高血圧が続くとこれらのリスクが上昇
- 腎臓病:腎臓に負担がかかり、機能低下を招く可能性
- 胃がん:塩分が胃の粘膜を傷つけ、発がんリスクを高める
- むくみ:体内の水分バランスが崩れ、むくみやすくなる
日本人は世界的に見ても塩分摂取量が多い国民として知られています。2019年の調査では、日本人の平均塩分摂取量は男性10.9g、女性9.3gで、目標値を大きく上回っています。
ラーメンを食べる頻度の目安
「ラーメンは塩分が高いから食べてはいけない」というわけではありません。大切なのは頻度と量のコントロールです。
健康な成人であれば、週1〜2回程度のラーメンは問題ないとされています。ただし、その際は以下のポイントを意識しましょう。
- スープは半分以上残す
- ラーメンを食べた日は、他の食事で塩分を控える
- 野菜や果物を積極的に摂る
- 翌日は塩分控えめの食事を心がける
高血圧・腎臓病の方は要注意
すでに高血圧や慢性腎臓病と診断されている方は、より厳しい塩分制限が必要です。日本高血圧学会では、これらの疾患を持つ方の塩分摂取目標を1日6g未満としています。
ラーメン1杯でこの目標をほぼ満たしてしまうため、外食でラーメンを食べる場合は、スープを完全に残す、その日は他の食事で塩分をほぼ摂らないなどの工夫が必要です。気になる方は、主治医に相談することをおすすめします。
都道府県別ラーメンの塩分調査データ
青森県の調査結果
青森県では、県内飲食店の麺類のスープの塩分調査を実施しています(平成29〜令和元年度)。この調査は464店舗を対象に行われた大規模なもので、実際のラーメンの塩分量を知る貴重なデータとなっています。
調査結果によると、青森県内のラーメン店で提供されるラーメンの塩分量は、1杯あたり5〜8gの範囲に分布しており、平均すると約6.5gでした。
地域による味の差
ラーメンの塩分量は地域によっても差があります。一般的に、以下のような傾向が見られます。
| 地域 | 特徴 |
|---|---|
| 東北地方 | 寒冷地のため、全体的に塩分が高め |
| 関東地方 | 醤油ベースが主流。中程度の塩分 |
| 九州地方 | 豚骨ベースで、比較的塩分は低め |
| 北海道 | 味噌ラーメンが多く、中程度〜やや高め |
ただし、これはあくまで傾向であり、店舗ごとの差の方が大きいです。同じ地域でも、店によって塩分量は大きく異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. ラーメンのスープを全部飲んでしまいました。どうすればいい?
A. 1回の食事で塩分を摂りすぎても、すぐに健康被害が出るわけではありません。その日の残りの食事で塩分を控える、水分を多めに摂る、野菜や果物を食べてカリウムを補給するといった対策を心がけましょう。翌日からは通常の食事に戻して大丈夫です。
Q. 減塩ラーメンは本当に美味しいの?
A. 最近の減塩ラーメンはだしの旨味を強化することで、塩分を減らしても満足感のある味わいを実現しています。インスタントラーメンでは「だしの旨味で減塩」シリーズなど、評価の高い商品も出ています。店舗でも「薄味」を選んでみると、意外と出汁の風味がより感じられて美味しいという声もあります。
Q. 家でラーメンを作るとき、塩分を減らすコツは?
A. スープの素を全量使わないのが最も簡単な方法です。袋麺の場合、粉末スープを7〜8割程度使うだけでも、十分な味わいになります。また、水を多めにして薄める、野菜を多く入れて旨味を補うといった方法も効果的です。
Q. つけ麺とラーメン、どちらが塩分が低い?
A. 基本的に同程度です。つけ麺のつけ汁は濃縮されているため、少量でもラーメンスープと同等の塩分が含まれています。スープ割りをして全部飲む場合は、ラーメンと変わらない塩分摂取量になります。
Q. 子供にラーメンを食べさせても大丈夫?
A. 子供の塩分摂取目標は大人より低く設定されています(6〜7歳で1日4g未満など)。ラーメン1杯を完食すると、子供にとっては1日分以上の塩分を摂取することになります。スープを残す、小さいサイズを選ぶ、頻度を控えるなどの配慮が必要です。
まとめ
この記事では、ラーメンの塩分について詳しく解説してきました。最後に、ポイントをおさらいしましょう。
- ラーメン1杯の塩分量は平均6〜7g(1日の摂取目安の大半)
- 種類別では塩ラーメン>味噌>豚骨>醤油の順で塩分が高い
- 系統別では二郎系(10〜25g)が圧倒的、家系も約7gと高め
- 塩分の70〜80%はスープに含まれる
- スープを残すだけで、塩分摂取量を大幅にカットできる
- カップラーメンは5〜6g、減塩タイプなら3g台も
ラーメンは日本の食文化を代表する料理であり、その美味しさは塩分と切り離せない関係にあります。「塩分が高いから食べない」のではなく、スープを残す、頻度を調整する、他の食事で塩分を控えるといった工夫をしながら、上手にラーメンを楽しみましょう。
ラーメン好きな方にとって、この記事が健康的にラーメンライフを楽しむヒントになれば幸いです。

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